「派遣料金のマージン30%は何に使われているのか」「経理特化型の派遣会社はマージン率が高いと聞くが、総合型を選んだ方が安いのではないか」——CFO・経理部長・購買担当者から派遣料金の構造に関して繰り返し寄せられる疑問に、一般の料金相場記事は「業界平均マージンは30%」と書くだけで、内訳や選択基準の本質には踏み込みません。
本記事は、上場企業・大企業で経理派遣を検討する担当者向けに、派遣料金の内訳6項目、マージン率の実態、社会保険料の企業負担構造、経理特化型を選ぶべき根拠を数値と論理で整理したガイドです。
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派遣料金の構造——企業が払う「派遣料金」の中身
派遣料金 vs スタッフ時給——「企業が支払う額」と「スタッフが受け取る額」の違い
派遣料金には2つの時給が存在します。企業負担時給(企業が派遣会社に支払う額)とスタッフ時給(派遣スタッフが受け取る額)です。両者の差分が派遣会社のマージンで、計算式は「企業負担時給 ÷ (1 - マージン率) = 元のスタッフ時給」の関係になります。
例えばスタッフ時給2,000円でマージン率30%の場合、企業負担時給は約2,857円になります。計算式を正確に理解することが予算計画の精度を上げる第一歩です。
経理派遣全体の基礎知識は経理派遣 完全ガイド|上場・大企業の活用法と選び方をご参照ください。
派遣料金に含まれるもの(6項目)
- 派遣スタッフへの賃金: 約70%
- 社会保険料・労働保険料(厚生年金・健保・雇用・労災の企業負担分): 約10.9%
- 有給休暇取得時の賃金引当: 約4.2%
- 派遣会社の教育訓練費・福利厚生費(諸経費の一部)
- 派遣会社の社員人件費・営業コスト(諸経費の一部)
- 派遣会社の営業利益: 約1.2%
合計で諸経費13.7% + 利益1.2% = マージン約30%となります。
派遣料金に含まれないもの
- 通勤交通費(多くの場合企業が直接負担または別途精算)
- PC・周辺機器・業務ツール費用(企業負担)
- セキュリティ教育・NDA締結に要する社内工数
- 残業代(別途加算、通常法定割増25〜50%)
マージン率の実態——業界平均・経理特化型・大手総合の比較
業界平均マージン率(厚生労働省・派遣協会データ)
厚生労働省の「労働者派遣事業の状況」によれば、業界平均マージン率は約30%です。内訳は社保約11% + 有給約4% + 諸経費約14% + 利益約1%となり、派遣会社の実質利益は1%前後にすぎません。
職種・会社タイプ別マージン率の実態
- 大手総合派遣(テンプスタッフ、リクルートスタッフィング、パソナ、スタッフサービス等): 28〜35%
- 経理・財務特化型(ジャスネットスタッフ等): 32〜40%
- 理由: 専門人材の採用・育成コスト、経理専門の求人広告費、公認会計士・USCPA・Big4出身者ネットワーク構築コストが高い
- 上場企業向け高難度案件(連結・IFRS・有報担当): 35〜42%
- 理由: 候補者プール形成にBig4出身者ネットワーク構築コストが必要。即戦力確保のための待機コスト込み
マージン率が高いことは「割高」ではない理由
高マージン = 高い採用・教育コストをかけて即戦力を確保している証拠と読むことができます。特に上場企業向けの専門人材では、総合型(マージン28〜35%)より経理特化型(32〜40%)のマージン率が高くても、連結決算・IFRS対応の即戦力確保確率の高さで費用対効果が上回るケースが多くあります。
マージン率の絶対値ではなく、「そのマージンで確保できる人材の質」を評価する視点が上場企業の採用担当者には求められます。
社会保険料の内訳と計算——企業が実際に負担するコスト
派遣料金に含まれる社会保険料の内訳
派遣料金に内包される社会保険料の企業負担分は、以下の合計で約16〜17%(スタッフ賃金比)となります。
- 厚生年金保険料(企業+スタッフ折半・企業負担分): 約9.15%
- 健康保険料(企業+スタッフ折半・企業負担分): 約5.0〜5.2%
- 介護保険料(40歳以上・企業負担分): 約0.9%
- 雇用保険料(企業負担分): 約0.95%
- 労災保険料(全額企業負担): 約0.3〜0.5%
派遣 vs 正社員での社保コスト比較
| 雇用形態 | 社保コスト | 手続き・管理 |
|---|---|---|
| 派遣 | 派遣料金に内包(約11%相当) | 企業側の社保手続き不要 |
| 正社員 | 給与の約16%が追加発生 | 企業が入社・退職手続きを実施 |
派遣の大きな利点は、社保コストの企業側手続き・管理工数がゼロという点にあります。100名規模の経理部を抱える大企業では、派遣スタッフ10名分の社保手続きを正社員で実施する場合、年間で数十時間の人事工数が発生しますが、派遣契約ではこれが派遣元会社側で完結します。
有給休暇引当コストの実態(年間約4.2%相当)
派遣料金には年間平均12〜15日分の有給休暇取得コストが事前に組み込まれています。企業視点では、有給取得のたびに追加請求が来ない透明なコスト構造となっており、年次の予算計画に組み込みやすい利点があります。
派遣料金の計算方法——月額・年間費用の正確な試算
基本計算式と実例(経理スキル別)
月額費用の計算は「企業負担時給 × 月間稼働時間」がベースで、残業代は別途加算されます。実例を2つ示します。
例1(日常経理): スタッフ時給2,000円(マージン30%)→ 企業負担時給2,857円 → 月160時間 = 月額約45.7万円
例2(連結決算担当): スタッフ時給3,000円(マージン35%)→ 企業負担時給4,615円 → 月160時間 = 月額約73.8万円
連結決算担当の時給相場は連結決算担当 派遣の時給相場|上場企業向け2026年版で詳しく解説しています。
残業代の計算——月額費用が膨らむ要因
- 法定残業割増: 月60時間以内は25%増、60時間超は50%増(大企業)
- 決算期(3〜5月)の残業: 月20〜40時間が発生するケース多数
試算例: 月額40万円の派遣スタッフが決算期に残業30時間 → 追加3.6万円(月43.6万円)。年間の予算計画では、繁忙期3ヶ月分の残業代加算(+9〜12万円)を見込むことが現実的です。
スポット・短時間勤務での料金計算(週3日・週2日)
- 週3日(月96時間): 月額費用はフルタイムの60%(月24〜44万円)
- 週2日(月64時間): 月額費用はフルタイムの40%(月16〜29万円)
ニーズに合わせた稼働設計でコストを最適化できます。月額・年間コストの詳細試算は経理派遣の月額費用・年間コスト試算ガイドで解説しています。
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派遣料金を下げる交渉ポイント——企業担当者が知るべき4つの方法
①長期・複数名契約でのボリュームディスカウント
- 6ヶ月〜1年の長期契約: マージン率が2〜5%下がるケースあり
- 複数名同時契約: 全体費用の3〜5%削減交渉余地
派遣元側でスタッフ配置の安定性が増すため、長期契約では採用コストが償却でき、マージン率の調整余地が生まれます。
②稼働時間・形態の見直し(稼働コスト最適化)
フルタイム(月160時間)から週3日(月96時間)に変更するだけで月額40%減になります。「高難度業務だけ週2日」という集中稼働設計も有効で、業務量の棚卸しから出発する費用最適化が最もインパクトの大きい打ち手です。東京エリアの全般相場は東京の経理派遣費用相場もご参照ください。
③繁忙期の早期依頼で時給プレミアムを回避
決算期の直前依頼は時給が200〜500円上振れします(需要集中で相場高騰)。3ヶ月前依頼なら通常相場での確保が可能で、年間費用で数十万円の差が生まれます。四半期決算期の派遣活用は四半期決算ピーク対応の派遣活用もご参照ください。
④定型業務をBPOに切り出して派遣稼働時間を削減
定型業務(請求書入力・仕訳入力)をBPO(月3〜10万円)に移管し、派遣スタッフを高付加価値業務(判断業務)に特化させ稼働時間を週3日に削減する設計が可能です。
年間削減効果試算: 派遣月額40万円→24万円 + BPO月5万円 = 月29万円(月11万円削減、年間132万円削減)
BPOと派遣の使い分けは経理 派遣 vs BPO 徹底比較で詳しく解説しています。
経理特化型派遣会社 vs 総合型——料金構造の違いと選ぶべき理由
総合型の料金構造——幅広い職種を捌くための標準化マージン
大手総合派遣会社(テンプスタッフ・パソナ・リクルートスタッフィング・スタッフサービス等)は、求人広告・採用活動を標準化することでコスト最適化を実現し、マージン率28〜32%で運用されています。登録者数は数万人〜数十万人規模で、一般事務・経理初級レベルの人材は豊富に確保可能です。一方、連結決算・IFRS対応など高難度の経理業務の経験者登録は、登録者全体の比率として薄くなります。
経理特化型の料金構造——専門人材確保のための高マージン構造
経理・財務特化型派遣会社(ジャスネットスタッフ等)は、Big4(四大監査法人)・監査法人出身者ネットワーク、公認会計士・USCPAホルダーのデータベース、IFRS・US GAAP実務経験者の継続フォローなど、専門人材確保コストが大手総合型より高い構造を持ちます。結果としてマージン率は32〜40%の水準になります。
その代わり、連結決算・IFRS対応・有報作成・J-SOX対応といった上場企業特有の経理ニーズに対する即戦力確保確率が大手総合型より高く、ミスマッチ率(採用後の早期離脱・スキル不一致)も低く抑制されます。
上場企業が経理特化型を選ぶべき3つの根拠
- 高難度スキルの候補者プールが厚い: 連結・IFRS・J-SOX対応者の登録比率が20〜30%と大手総合型(1〜5%)より大幅に高い
- 上場企業への派遣実績: 情報セキュリティ対応・多段階承認フロー対応・インサイダー情報管理のノウハウが蓄積
- 派遣法コンプライアンス: 同一労働同一賃金・抵触日管理の専門的な法的サポート体制
マージン率の高低ではなく、「そのマージンで何が買えるか」を評価する視点が上場企業の採用担当者には重要です。
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よくある質問
経理派遣のマージン率は何パーセントが相場ですか?
業界全体の平均は約30%前後(厚生労働省調べ)です。大手総合派遣会社で28〜35%、経理・財務特化型の派遣会社では32〜40%が多く、上場企業向け高難度案件(連結・IFRS・有報作成)ではさらに高くなる場合があります。マージン率が高いことは必ずしも割高を意味せず、専門人材の確保コストが高いことを示します。
派遣料金にはどんな費用が含まれていますか?
①スタッフへの賃金(約70%)、②社会保険料(厚生年金・健保・雇用・労災の企業負担分、約10.9%)、③有給休暇取得時の賃金引当(約4.2%)、④派遣会社の教育費・諸経費(約13.7%)、⑤派遣会社の営業利益(約1.2%)が含まれます。通勤交通費・PC費用・残業代は通常別途です。
マージン率30%は高すぎませんか?
内訳を見ると、スタッフの社会保険料(企業負担分)が約11%、有給引当が約4%を占めます。正社員を雇用する場合も同じ社保コスト(給与の約16%)が発生しますが、それが派遣料金に内包されているため、企業側の社保手続きや管理コストが不要になります。実質的なマージン(派遣会社の利益)は約1.2%しかなく、残りはすべてスタッフへの還元・コストです。
経理派遣の料金は交渉できますか?
ある程度交渉の余地があります。長期契約(6ヶ月以上)や複数名同時契約ではマージン率2〜5%の引き下げが交渉可能なケースがあります。ただしスタッフ時給(市場相場)の部分は交渉が難しいため、コスト最適化の主な手段は稼働時間の見直しや定型業務のBPO切り出しになります。
経理特化型と総合型の派遣会社、どちらを選ぶべきですか?
上場企業・大企業の高難度な経理業務(連結決算・IFRS・有報・J-SOX)を依頼する場合は、経理特化型を強く推奨します。マージン率は総合型より高い傾向がありますが、連結・IFRS経験者の候補者プールの厚さと、上場企業への派遣実績(情報セキュリティ対応・多段階承認プロセス)は圧倒的に異なります。
まとめ
派遣料金の内訳はスタッフ賃金70%・社保+有給15.1%・諸経費13.7%・利益1.2%で、マージン約30%の実質は派遣会社の利益ではなくスタッフへの還元コストです。経理特化型派遣会社のマージン32〜40%は割高ではなく、連結決算・IFRS対応の即戦力確保コストを反映した合理的な価格構造です。上場企業の高難度経理業務では、マージン率の低さより「そのマージンで確保できる人材の質」を評価軸に据えることが最適解となります。