「連結決算スポットの派遣を半年だけ入れたいが、年間予算としていくら見込めばよいのか」「J-SOX評価の外部コンサルに見積もりをもらったら年間600万円だった。派遣ならどのくらいか知りたい」——上場企業の経理部長・CFOからよく頂くのが、派遣料金の「実際に支払う金額」に関する質問です。一般向けの経理派遣料金記事は存在しますが、連結決算・J-SOX・IFRSなど上場企業特有のプレミアム相場を定量化した情報は驚くほど少ないのが現実です。
本記事は、東京の上場企業・大企業の経理部長・CFO・予算策定担当者向けに、派遣料金の仕組み、スキル別・エリア別の2026年最新相場、3年TCO(総所有コスト)シミュレーション、上場企業特有の隠れコスト、正社員・BPOとの比較まで網羅した実務ガイドです。
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派遣料金の仕組みとマージン構造
企業が支払う「派遣料金」と求職者が受け取る「時給」の違い
派遣では、企業が派遣会社に支払う「派遣料金(請求時給)」と、派遣スタッフが受け取る「時給(スタッフ時給)」は別物です。派遣料金はスタッフ時給に社会保険料・有給引当・派遣会社の管理費・営業利益などが加算された金額になります。一般的に派遣料金はスタッフ時給の1.3〜1.4倍になるため、「時給2,000円のスタッフ」を受け入れる場合、企業負担は2,600〜2,800円程度と見込むのが実情に合います。
マージン率30%の内訳(社保・有給引当・管理費・営業利益)
派遣業界のマージン率は平均30%前後です。内訳は、社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)が約16%、有給休暇引当が約4%、派遣会社の管理費・研修費・福利厚生が約7%、営業利益が3%程度となっています。経理特化型派遣会社では、希少スキル人材の確保コスト・研修費が高いため、マージン率が35%超になるケースもあります。
派遣料金に含まれるもの・含まれないもの(通勤交通費・PC費用等)
派遣料金にはスタッフ給与・社保・管理費が含まれますが、通勤交通費は別途精算となるケースが一般的です。またノートPC・業務用携帯・システムアカウント費用は派遣先(自社)の負担となります。大企業では情報セキュリティ上、派遣スタッフ専用の貸与PCを準備するのが標準であり、これも派遣料金とは別計上になります。
上場企業向け スキル別・業務別 時給相場表(2026年最新)
日常経理・月次決算・年次決算・連結決算——スキル4段階の企業負担額
上場企業の経理派遣は、業務難易度に応じて時給が大きく変動します。2026年の東京相場(企業負担額)は以下の通りです。
| スキル層 | 業務内容 | 企業負担時給 |
|---|---|---|
| 日常経理 | 仕訳・入力・支払処理 | 2,100〜2,500円 |
| 月次決算 | 試算表・勘定明細照合 | 2,500〜3,000円 |
| 年次決算 | 開示補助・税務資料作成 | 2,900〜3,600円 |
| 連結決算・IFRS | 連結修正仕訳・英文開示 | 3,300〜4,600円 |
三大都市圏の派遣事務職平均時給は2026年1月時点で1,714円(40ヶ月連続前年超え)と過去最高を更新しています。連結・IFRS対応の経理派遣はこの2〜2.7倍の水準に達しており、希少スキルに対する市場評価の高さを示しています。
上場企業特有の「プレミアム加算」——J-SOX、監査法人対応、開示業務
連結決算や年次決算の基本相場に加えて、上場企業特有の業務経験はプレミアム加算の対象となります。
- J-SOX内部統制評価経験: 一般経理比+20〜40%
- 監査法人対応・開示業務(有価証券報告書・決算短信): 時給3,800〜4,800円
- 英文経理(TOEIC 800点以上): 企業負担時給2,900〜4,200円
- IFRS初度適用・PPA経験(公認会計士クラス): 時給4,500〜6,000円
これらのプレミアムは上場企業担当者が「自社にこのスキルが必要か」を事前に整理せずに一般派遣会社に依頼すると、後から追加見積もりとして提示されるケースもあります。当初見積もりの段階でスキル要件を明確化することが重要です。
東京エリア別相場差——上場企業が集積するエリアの特徴
丸の内・大手町: 2,100〜2,500円(日常)/ 2,600〜3,200円(月次決算)
金融・商社・大手メーカーが集中するエリアで、時価総額上位100社のオフィス密度が最も高いエリアです。求められるスキルは連結決算・IFRS・英文経理・J-SOXなど最高難度が中心で、USCPA・Big4出身者の需要は特に旺盛です。IFRS対応は時給4,000円超も珍しくありません。
渋谷・六本木: 2,000〜2,400円(日常)/ 2,500〜3,100円(月次決算)
IT企業・外資系が集中するエリアです。freee・マネーフォワード・NetSuiteなどSaaS会計操作経験、前受金・ARR認識などサブスクリプション型ビジネス特有の収益認識経験、米国基準(US GAAP)対応などIT業界特有のスキルに高プレミアムが付きます。
新宿・品川: 1,800〜2,300円(日常)/ 2,300〜3,000円(月次決算)
多業種・IPO準備スタートアップ・大手メーカーが混在するエリアです。エリア全体の時給水準は丸の内より1〜2割低めですが、J-SOX経験者は品川エリアで+300〜600円のプレミアムが付くケースがあります。IPO準備期の一時的な増員ニーズも多く、スポット派遣の需要が安定しています。
エリア選定の実務ポイント(本社所在地 vs リモート派遣の活用)
上場企業では情報セキュリティ上、連結決算・M&A情報など未公開情報を扱う業務は本社オフィスでの常駐が原則となるケースが多く、リモート派遣の活用には制約があります。一方、定型業務(仕訳入力・勘定照合・資料整理)はリモート派遣・BPO委託で柔軟に対応できるため、業務を切り分けて運用するのが現実解です。
上場企業向けコスト試算シミュレーション(3ケース)
ケース①: 連結決算スポット派遣(四半期×4回、2ヶ月ずつ)
3月期上場企業が四半期決算前の2ヶ月スポットで連結決算担当を確保するケースです。
- 時給3,500円 × 月160時間 × 2ヶ月 × 4回 = 年間448万円
- 通年正社員(連結専門、年収700〜900万円)との比較: 採用費込みで年間1,000〜1,200万円
- 判定: スポット派遣は通年正社員比60〜70%のコスト圧縮
年4回の決算サイクルを抱える上場企業にとって、繁忙期のみスポット派遣を活用するモデルは、固定費を変動費化する効果が大きい意思決定となります。
ケース②: J-SOX対応専任(6ヶ月スポット)
J-SOX評価の整備・運用テスト業務を6ヶ月スポットで派遣対応するケースです。
- 時給3,000円 × 月160時間 × 6ヶ月 = 288万円
- 監査法人系外部コンサル依頼との比較: 300〜600万円
- 判定: 派遣がコスト優位(かつ社内ナレッジの蓄積が可能)
外部コンサル依頼は「成果物納品」で知識が社内に残らないのに対し、派遣であれば業務プロセスや判断基準が社内に蓄積されます。翌年以降の内製化を見据える企業にはダブルメリットがあります。
ケース③: 月次決算補助(通年・週3日)
月次決算補助を通年・週3日のレギュラー派遣で確保するケースです。
- 時給2,700円 × 96時間/月 × 12ヶ月 = 311万円
- フルタイム派遣(通年)との比較: 月次決算の一部をBPO切り出しで年間160〜200万円削減可能
- 判定: 定型業務BPO + 判断業務派遣のハイブリッドが最適
定型業務(請求書入力・入金消込)をBPOに外出しし、判断業務(月次決算・差異分析)のみ派遣に任せることで、トータルコストをさらに圧縮できます。
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隠れコストの可視化——上場企業特有の追加費用
教育・引き継ぎコスト(初月生産性50〜70%)
派遣スタッフが着任してから完全な生産性を発揮するまでには、初月50〜70%・2ヶ月目80〜90%の段階を経るのが一般的です。この立ち上がり期間中の業務引き継ぎ工数、社内システム操作の習熟期間を考慮しておく必要があります。上場企業では内部統制上の手順書遵守も必要なため、一般企業より長めの立ち上がり期間を見込むのが実情に合います。
派遣先責任者の管理工数(月10〜20時間)
派遣先責任者として、派遣スタッフの日次業務管理・就業状況把握・派遣会社との月次レビュー・契約更新手続きに月10〜20時間を要します。経理部長クラスの工数を時給換算すると、これ自体が年間数十万円規模の管理コストとなります。
情報セキュリティ・機密管理の追加コスト(上場企業特有)
上場企業の経理派遣では、未公開決算情報・M&A情報・インサイダー情報を扱うため、以下の追加コストが発生します。
- 秘密保持誓約書・NDA締結の法務工数
- インサイダー取引防止教育の実施
- セキュリティ研修・機密情報取り扱いルール説明
- ISO27001取得確認・プライバシーマーク確認の情報システム部工数
これらの情報セキュリティ関連コストは、上場企業の経理派遣特有の「見落としがち」なコストです。年間換算で30〜80万円相当になるケースもあります。
抵触日管理と契約更新時の人材入替リスク
同一職場での派遣受け入れは原則3年が上限です。3年目の抵触日到来時には、①別スタッフへの入替(引き継ぎコスト10〜30万円)、②直接雇用への切り替え(転換手数料年収の20〜30%)、③派遣先事業所の変更、のいずれかを選ぶ必要があります。長期活用を前提とする場合は、2年目には次の一手を検討し始めるのが現実的です。直接雇用への切り替えの詳細は経理派遣スタッフを正社員に切り替える方法もご参照ください。
派遣 vs BPO vs 正社員採用——上場企業向け総コスト比較
3択の根本的な違い(指揮命令・情報セキュリティ・スケール柔軟性)
| 観点 | 派遣 | BPO | 正社員採用 |
|---|---|---|---|
| 指揮命令 | 自社 | BPO事業者 | 自社 |
| 固定費 | 変動費 | 変動費 | 固定費 |
| 着任速度 | 2〜4週間 | 1〜2ヶ月 | 3〜6ヶ月 |
| 採用コスト | なし | なし | 100〜200万円 |
| 担える業務 | 判断・調整○ | 定型処理○ | 全範囲 |
業務量・難易度別推奨マトリクス
- 定型作業(請求書処理・仕訳入力)200件/月以下 → BPO
- 連結決算・J-SOX・監査対応 → 派遣(専門人材)
- 月次決算の定型部分 → BPO切り出し+派遣ハイブリッド
正社員採用との比較(採用コスト・定着リスク・即戦力スピード)
年収700万円の連結決算担当を正社員で中途採用する場合、初年度フルコストは、給与700万円+事業主負担社保約110万円+採用エージェント費用(年収の30〜35%)210〜245万円=1,020〜1,055万円に達します。加えて入社後3〜6ヶ月の戦力化期間、離職リスク(経理専門人材の3年以内離職率15〜20%)があります。派遣なら採用費ゼロ・最短2〜4週間で着任し、抵触日までの3年は確保できます。詳細なTCO比較は経理 派遣・BPO・正社員の総コスト比較をご参照ください。
BPO×派遣ハイブリッド——TOKIUMスタッフィング+Dr.Wallet BPO連携の独自優位性
一般の派遣会社では派遣のみの提案となりますが、TOKIUMグループでは派遣(TOKIUMスタッフィング)と経理BPO(Dr.Wallet BPO)を組み合わせたハイブリッド提案が可能です。定型業務をBPOに切り出しつつ、判断業務は派遣でカバーすることで、正社員採用や派遣単独と比較してトータルコストを30〜50%削減できるケースがあります。グループ内で両機能を持つ独自強みは、送客先のTOKIUMスタッフィングで具体的にご相談いただけます。
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よくある質問
上場企業向け経理派遣の時給相場はいくらですか(東京)?
業務難易度によって大きく異なります。日常経理(仕訳・入力)で企業負担2,100〜2,500円、月次決算で2,500〜3,000円、年次決算・連結決算で3,300〜4,600円が東京相場です。さらに、J-SOX内部統制評価や監査法人対応の経験がある人材は一般経理比+20〜40%のプレミアムが加算されます(2026年時点)。
連結決算やJ-SOX対応ができる経理派遣人材は確保できますか?
総合型の大手派遣会社では難しい場合が多く、経理・財務特化型の派遣会社を選ぶことが重要です。連結決算経験者は経理派遣登録者全体の5〜10%と推定される希少スキルのため、繁忙期の2〜3ヶ月前からの早期依頼が必要です。IFRS初度適用経験者など超高度スキルは1〜2ヶ月の確保期間を見込んでください。
派遣料金と正社員の人件費、どちらが安いですか?
初年度は派遣の方が有利なケースが多いです。正社員採用では求人広告・エージェント費用(50〜150万円)、賞与・社会保険料の事業主負担(年収の+30〜35%)が発生しますが、派遣はこれらが不要です。ただし3〜5年の継続利用を想定する場合は、正社員採用と中長期比較をすることを推奨します。
上場企業特有のセキュリティ要件は派遣会社に対応してもらえますか?
対応できる派遣会社とできない派遣会社があります。未公開決算情報・M&A情報を扱う上場企業では、秘密保持誓約書の締結、スタッフの情報セキュリティ研修実績、プライバシーマーク・ISO27001の取得状況を必ず確認してください。経理特化型の派遣会社は上場企業での実績が豊富なため対応力が高い傾向があります。
繁忙期(3〜5月)の経理派遣は通常より割高になりますか?
事実上の「繁忙期プレミアム」が発生します。年次決算・連結決算の繁忙期(3〜5月)は経験者派遣の需要が供給を上回り、時給が200〜500円上振れするケースがあります。12〜1月の時点で早めに派遣会社へ打診することで、通常料金での人材確保が可能になります。四半期決算(6月・9月・12月)の繁忙期も同様です。
まとめ
上場企業の経理派遣料金は、スキル・エリア・業務特性により大きく変動します。表面の時給相場だけでなく、情報セキュリティコスト・管理工数などの隠れコストを含めた総コストで判断することが重要です。連結決算スポット・J-SOXスポット・月次決算ハイブリッドなど、業務特性に応じた派遣活用モデルを選択することで、正社員採用比で大幅なコスト圧縮が可能になります。経理派遣の全体像は経理派遣 完全ガイド|上場・大企業の活用法と選び方も合わせてご参照ください。