経理派遣の費用相場【2026年・東京】企業が実際に払うコストを徹底解説

経理派遣の費用相場を企業向けに徹底解説。スキル別時給(1,600〜3,500円)、エリア別相場差(渋谷/丸の内/新宿/品川)、派遣vsBPOのコスト比較シミュレーション、見落としがちな隠れコストまで網羅。

経理派遣を検討する企業がまず知りたいのは、「結局いくらかかるのか」という点です。しかし、派遣の費用情報はほとんどが求職者向け(「もらえる時給」の情報)であり、企業が実際に支払う金額を明示したデータは限られています。

派遣スタッフの時給が2,000円だとしても、企業が支払う派遣料金は2,700〜3,100円。マージン率25〜35%が上乗せされるためです。さらに、教育コスト、管理工数、人材入替リスクなどの「隠れコスト」を加えると、表面上の派遣料金の10〜15%が追加で発生します。

この記事では、東京エリアで経理派遣を検討している企業の人事・管理部門向けに、企業が実際に負担するコストの全体像をスキル別・エリア別に整理します。派遣とBPOのトータルコスト比較シミュレーションも交えて、最もコスト効率の高い調達方法を検討する判断材料を提供します。

マージン率 25〜35%
派遣スタッフの時給に上乗せされるマージン。社会保険料・有給引当・管理費を含む。時給2,000円のスタッフなら企業負担は2,700〜3,100円
一般社団法人 日本人材派遣協会「派遣料金の構造」(2025年度)

派遣料金の仕組み

経理派遣のコストを正確に把握するために、まず派遣料金の構造を理解しておく必要があります。求職者向けの「時給」と企業が支払う「派遣料金」はまったく別の数字であり、この差額がマージンです。

マージン構成図(時給 × マークアップ率)

企業が派遣会社に支払う料金は、次の計算式で算出されます。

派遣料金 = スタッフ時給 × (1 + マージン率)

たとえば、スタッフ時給が2,000円、マージン率が30%の場合、企業が支払う派遣料金は2,600円です。フルタイム(8h×20日)で換算すると、スタッフの月収は32万円ですが、企業の月額支払いは41.6万円になります。

マージンの内訳は以下のとおりです。

マージン項目割合(目安)内容
社会保険料(事業主負担)10〜12%健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険
有給休暇引当金3〜4%派遣スタッフの有給取得時の原資
派遣会社の管理費5〜8%営業・コーディネーター人件費、オフィス維持費
教育訓練費1〜2%キャリアアップ教育訓練(法定義務)
利益3〜5%派遣会社の営業利益
合計25〜35%

マージン率は派遣会社によって異なりますが、経理特化型の派遣会社(ジャスネット、MS-Japan等)は専門人材の確保コストが高いため、30〜35%とやや高めに設定される傾向があります。一方、総合型の大手派遣会社(テンプスタッフ、スタッフサービス等)は25〜30%が一般的です。

派遣料金に含まれるもの・含まれないもの

派遣料金はスタッフの「人件費+マージン」のみを対象としており、以下の費用は含まれません。

派遣料金に含まれるもの:

  • スタッフの基本給(時給)
  • 社会保険料(事業主負担分)
  • 有給休暇の費用
  • 残業時の割増賃金(法定の25%以上)
  • 派遣会社の管理費・利益

派遣料金に含まれないもの:

  • 通勤交通費(別途支給の場合あり。2020年の同一労働同一賃金対応以降、派遣料金に内包されるケースが増加)
  • 業務に必要なPC・デスク・ソフトウェアのライセンス費用
  • 派遣先での教育・OJTに要する既存社員の人件費
  • 紹介予定派遣の場合の紹介手数料(直接雇用時に年収の20〜30%)

通勤交通費の扱いは派遣会社との契約によって異なるため、見積もり段階で必ず確認してください。交通費が別途請求の場合、月額1〜2万円が追加で発生します。

スキル別・業務別の時給相場表

経理派遣の時給は、任せる業務の専門性によって大きく変動します。以下は、東京エリアにおける2026年時点の企業負担額(マージン込み)の相場です。求人サイトに掲載されている「スタッフの時給」ではなく、企業が実際に支払う派遣料金である点に注意してください。

スキルレベルスタッフ時給企業負担額(マージン込み)月額換算(フルタイム)
日常経理1,600〜1,900円2,100〜2,500円33.6〜40.0万円
月次決算1,900〜2,300円2,500〜3,000円40.0〜48.0万円
年次決算2,200〜2,800円2,900〜3,600円46.4〜57.6万円
連結決算・IFRS2,500〜3,500円3,300〜4,600円52.8〜73.6万円
英文経理2,300〜3,200円3,000〜4,200円48.0〜67.2万円

※月額換算は8h/日×20日で算出。マージン率30%で計算。

日常経理(仕訳・入力・支払処理)

仕訳入力、経費精算チェック、支払処理、振込データ作成などの日常的な経理業務です。簿記3級〜2級レベルの知識があれば対応可能であり、派遣市場でも人材供給が比較的潤沢なゾーンです。

スタッフ時給は1,600〜1,900円が相場で、企業負担額は月額33.6〜40.0万円になります。正社員を新規採用する場合、想定年収350〜450万円に社会保険料・福利厚生費を加えた年間コストは420〜550万円です。派遣の場合は年額403〜480万円(フルタイム12ヶ月)で、正社員とほぼ同等か若干安い水準になります。ただし、派遣には退職金や賞与の負担がないため、短期(1年以内)での利用であれば確実にコスト優位です。

一方で、仕訳入力や請求書処理のような定型業務は、件数課金型のBPOのほうがコスト効率が良いケースも多くあります。1件あたり25〜50円の件数課金で処理できるBPOに対して、派遣スタッフが同じ作業を行うと1件あたり200〜400円のコストがかかる計算です。後述のシミュレーションで比較検討してください。

月次決算(試算表・勘定明細)

月次の試算表作成、勘定明細の照合、未払金・前払費用の計上、部門別損益の集計など、月次決算に関わる一連の業務です。簿記2級以上に加え、実務経験3年以上が求められます。

スタッフ時給は1,900〜2,300円で、企業負担額は月額40.0〜48.0万円です。月次決算は毎月の締め日前後に集中するため、週3〜4日勤務のスポット契約で依頼するケースも多くあります。週3日勤務(月12日×8時間)であれば月額24.0〜28.8万円まで抑えることが可能です。

注意点として、月次決算では自社の勘定科目体系や部門コードの理解が必要なため、着任後に1〜2ヶ月のキャッチアップ期間を想定してください。会計ソフト(勘定奉行、PCA、freee等)の操作経験が指定通りのスタッフを確保するには、派遣会社への依頼時に使用ソフト名を明記することが重要です。

年次決算(開示・税務申告補助)

年次決算整理仕訳、税効果会計、固定資産の減価償却計算、法人税の申告資料作成補助、監査法人対応など、年度末の集中業務です。簿記1級レベルの知識と5年以上の実務経験が求められます。

スタッフ時給は2,200〜2,800円で、企業負担額は月額46.4〜57.6万円です。年次決算は3〜5月(3月決算企業の場合)に集中するため、この時期のみのスポット派遣(2〜3ヶ月契約)が一般的です。繁忙期には需要が供給を上回り、時給が200〜500円上乗せされる「繁忙期プレミアム」が事実上発生します。

繁忙期プレミアムを回避するには、12〜1月の時点で派遣会社に打診しておくことが有効です。3月以降に依頼すると、すでに他社に派遣中のスタッフが多く、確保が困難になるだけでなく、残った人材の中から選ぶことになるため、スキルのミスマッチリスクも高まります。

連結決算・IFRS対応

連結パッケージの集計、資本連結・成果連結の仕訳、連結精算表の作成、IFRS基準での財務諸表作成、海外子会社との英語でのコミュニケーションなど、高度な専門性が必要な業務です。

スタッフ時給は2,500〜3,500円で、企業負担額は月額52.8〜73.6万円に達します。IFRS対応の人材は公認会計士や米国CPAの有資格者が多く、市場でも供給が限られるため、確保には1〜2ヶ月前からの早期依頼が必要です。東証プライム上場企業のIFRS任意適用が進む中、この価格帯の人材の需要は年々増加しており、2023年比で時給が5〜10%上昇しています。

連結決算を外注する場合、派遣とBPO・会計事務所外注の3つの手段があります。連結パッケージの集計・仕訳入力のような定型作業はBPOに切り出し、子会社との調整や監査法人対応を派遣に任せる「ハイブリッド型」が、コスト・品質の両面で最適なケースが多いです。

英文経理

外資系企業や海外子会社を持つ日本企業で必要とされる、英語での会計処理・レポーティング業務です。日次の仕訳入力から月次レポートの作成、本社への英文財務報告まで幅広い業務を含みます。

スタッフ時給は2,300〜3,200円で、企業負担額は月額48.0〜67.2万円です。英語力(TOEIC 800以上が目安)と経理実務の両方を備えた人材は希少であり、渋谷・六本木エリアの外資系企業や丸の内・大手町の総合商社で需要が特に高くなっています。

企業負担額 2,500円(丸の内最高水準)
丸の内・大手町エリアの日常経理派遣の企業負担額上限。金融機関・大手企業の需要が集中し、他エリアより10〜15%高い水準
求人ボックス・リクナビ派遣 東京エリア経理派遣時給データ(2025年度)

エリア別の相場差

東京都内でも、オフィスが集積するエリアによって派遣料金には明確な差があります。これは、エリアごとの企業構成(業種・規模)と経理人材の需給バランスの違いによるものです。

エリア日常経理(企業負担額)月次決算(企業負担額)主な特徴
丸の内・大手町2,100〜2,500円2,600〜3,200円金融・大手企業集中。最高水準
渋谷2,000〜2,400円2,500〜3,100円IT・メガベンチャー多い
新宿1,800〜2,200円2,300〜2,900円多業種。価格帯は中間
品川・五反田1,900〜2,300円2,400〜3,000円ITスタートアップ増加中

渋谷エリア(IT企業中心)

渋谷はメガベンチャーやSaaS企業が集中するエリアです。経理に求められるスキルとして、クラウド会計(freee、マネーフォワード等)の操作経験やSaaS特有の会計処理(ARR/MRR関連の収益認識、前受金管理等)が重視されます。

IT企業ではペーパーレス化が進んでおり、紙の伝票処理よりもシステム操作やデータ分析のスキルが優先されます。その分、Excel VBAやBIツールの使用経験がある人材は時給が200〜400円高くなる傾向です。企業負担額は日常経理で2,000〜2,400円、月次決算で2,500〜3,100円が相場です。

丸の内・大手町エリア(大手企業・金融)

丸の内・大手町は上場企業の本社や金融機関が集中するエリアであり、経理派遣の時給相場は都内で最も高い水準にあります。金融機関特有の経理処理(有価証券の時価評価、デリバティブ会計等)ができる人材は、さらに時給が500〜800円上乗せされます。

また、このエリアでは大手監査法人(四大法人)の出身者やUSCPA保持者の需要が高く、連結決算やIFRS対応まで含めると企業負担額が時給4,000円を超えるケースも珍しくありません。企業負担額は日常経理で2,100〜2,500円、月次決算で2,600〜3,200円です。

新宿エリア(多業種)

新宿エリアは不動産、小売、サービス業など多業種の企業が混在するエリアです。経理派遣の需要は安定していますが、丸の内や渋谷ほど専門性の高い人材が集中しないため、相場はやや低めです。

企業負担額は日常経理で1,800〜2,200円、月次決算で2,300〜2,900円と、丸の内エリアと比較して10〜15%低い水準です。コストを抑えたい中堅企業にとっては、新宿エリアでの派遣人材確保が有利な選択肢になります。

品川・五反田エリア(ITスタートアップ)

品川・五反田エリアは近年ITスタートアップの集積が進んでおり、渋谷に次ぐIT企業のハブとして成長しています。IPO準備中のスタートアップが多く、経理派遣には「IPO準備経験」が求められるケースが増えています。

IPO準備に必要な内部統制の構築、J-SOX対応、証券審査用の資料作成などの経験がある人材は、時給が300〜600円上乗せされます。企業負担額は日常経理で1,900〜2,300円、月次決算で2,400〜3,000円です。渋谷と新宿の中間的な水準ですが、IPO関連スキルの需要増加に伴い、今後さらに上昇する可能性があります。

派遣 vs BPO のトータルコスト比較シミュレーション

経理業務の外注を検討する際、「派遣とBPO、どちらが安いのか」は最も多い質問の一つです。結論から言えば、業務量と業務内容によってコスト優位性は逆転します。以下に3つの具体的なシミュレーションを示します。

月間100件の請求書処理の場合

請求書の受領、データ入力、仕訳計上、支払データ作成を月100件処理するケースです。

比較項目派遣BPO(件数課金)
単価時給2,100円(企業負担額)1件25〜50円
想定工数/処理量月40時間(1件あたり約24分)月100件
月額コスト84,000円2,500〜5,000円
初期費用なし設定費 10,000〜30,000円
品質管理自社で確認が必要BPO側のダブルチェック込み
年間コスト1,008,000円30,000〜60,000円

判定: BPOが圧倒的に有利。月100件程度の請求書処理であれば、派遣スタッフの稼働時間のうち請求書処理以外の時間が大きくなるため、定型業務だけを切り出してBPOに委託するのがコスト効率的です。年間で見ると95〜98万円のコスト差が生じます。件数が月200件を超えると、BPOの処理費用は5,000〜10,000円に増加しますが、それでも派遣(月168,000円)と比べて圧倒的に低コストです。

月次決算補助の場合

月次決算のうち、試算表の作成、勘定残高の照合、未払金・前払費用の計上を毎月処理するケースです。

比較項目派遣BPO(月額固定)
単価時給2,600円(企業負担額)月額15〜25万円
想定工数月80時間(週4日×5h)月額固定
月額コスト208,000円150,000〜250,000円
指揮命令自社で直接指示可能委託先経由
柔軟性突発対応可能契約範囲内
年間コスト2,496,000円1,800,000〜3,000,000円

判定: ほぼ同等、業務の性質で選択。コストだけを見ればBPOが僅かに有利ですが、月次決算は経営陣からの突発的な問い合わせや勘定科目の判断が伴うため、自社に常駐して直接指示を出せる派遣のほうが業務品質を担保しやすいケースが多いです。最適解は、試算表のデータ入力・照合作業(全体の30〜40%)をBPOに切り出し、判断を伴う計上処理と報告資料作成を派遣に集中させるハイブリッド型です。この場合、派遣の週当たり稼働を3日に削減でき、月額は124,800円+BPO費用5〜8万円で合計17〜20万円程度に収まります。

年次決算スポットの場合

年次決算のうち、決算整理仕訳、税効果計算、固定資産台帳の整理、法人税申告資料の作成補助を3ヶ月間処理するケースです。

比較項目派遣(スポット3ヶ月)BPO(スポット)
単価時給3,200円(企業負担額)一式 80〜150万円
想定工数月160時間(フルタイム)×3ヶ月一式
総コスト1,536,000円800,000〜1,500,000円
監査対応スタッフのスキル次第対応不可が多い
税務判断不可(税理士資格不要の範囲)不可
3ヶ月コスト1,536,000円800,000〜1,500,000円

判定: BPOが有利だが、監査対応の有無で逆転。定型的な決算整理作業だけであればBPOのほうが低コストですが、監査法人からの質問対応や決算方針の判断が伴う場合は、自社に常駐する派遣のほうが総合的なコストパフォーマンスが高くなります。

隠れコスト 10〜15%
派遣料金の表面額に対して、教育・管理・入替リスクなどの間接コストが年間で10〜15%追加で発生
Dr.Wallet BPO 導入企業ヒアリング結果に基づく試算

隠れコストの可視化

派遣料金の見積もりは「時給×稼働時間」で明快ですが、実際にはそこに含まれない間接コストが発生します。年間で見ると表面上の派遣料金の10〜15%に相当するこれらのコストを、事前に把握しておくことで予算の精度が上がります。

教育・引き継ぎコスト

派遣スタッフが着任してから戦力化するまでには、自社の会計ルール、使用している会計ソフト、社内の承認フローなどの教育が必要です。経理業務は企業ごとの「ローカルルール」が多く、一般的な経理知識だけでは対応できない処理が必ず存在します。

目安として、着任後1ヶ月目の生産性は期待値の50〜70%程度です。フルタイムの派遣スタッフ(月額40万円)の場合、初月に12〜20万円分の生産性ロスが発生する計算です。加えて、教育を担当する既存社員の工数(月20〜40時間)も間接コストとして計上する必要があります。

年間換算: 契約更新時にスタッフが交代すると、年に1〜2回この教育コストが発生します。年間で24〜60万円の追加コストになります。

管理工数(派遣先責任者の業務負荷)

労働者派遣法では、派遣先企業に「派遣先責任者」の選任が義務付けられています。責任者には、派遣スタッフの就業条件の管理、苦情処理、派遣元との連絡調整など、一定の管理業務が発生します。

これに加えて、日常の業務指示・進捗管理・成果物チェックなどの実務的な管理工数が発生します。目安として、派遣スタッフ1名あたり月10〜20時間の管理工数が必要です。管理者の時給を3,000円と仮定すると、月額3〜6万円が管理コストとして発生します。

派遣スタッフが2名以上になると、スタッフ間の業務分担の調整や、スタッフごとの習熟度の違いによるチェック工数の増加など、管理負荷は非線形に増大します。具体的には、2名体制では1名あたりの管理工数が月15〜25時間に増え、3名以上では月20〜30時間に達することもあります。管理コストだけで年間72〜108万円(管理者時給3,000円×月20〜30時間×12ヶ月)が発生する計算です。

対策として、BPOであれば委託先のチームリーダーが品質管理と進捗管理を行うため、自社側の管理工数は月3〜5時間に削減されます。「管理に手が回らない」という課題が顕在化している場合は、一部業務のBPO移行を優先的に検討してください。

契約更新・人材入替のリスク

派遣契約は3ヶ月ごとの更新が一般的ですが、契約更新時にスタッフが別の案件に移ってしまう(または派遣会社が別のスタッフを提案する)リスクがあります。特に、4〜6月の年次決算シーズンや四半期末前後は、他社からのオファーが競合するため引き抜きリスクが高まります。

スタッフの入替が発生した場合、後任者の確保に2〜4週間、引き継ぎに2〜4週間を要するため、最悪のケースでは1〜2ヶ月のブランクが生じます。このブランク期間は既存社員がカバーするか、別の派遣スタッフの緊急手配(通常より時給が10〜20%高い)が必要になります。

リスクの金銭換算: 年1回のスタッフ入替が発生した場合、教育コスト(12〜20万円)+ブランク期間の既存社員残業(5〜15万円)+後任の緊急手配プレミアム(月2〜4万円×3ヶ月)で、年間23〜47万円の追加コストになります。

コストを抑える4つの方法

ここまで見てきたとおり、経理派遣のトータルコストは表面上の派遣料金だけでは測れません。以下の4つの方法を組み合わせることで、品質を落とさずにコストを最適化できます。

方法1: 定型業務はBPOに切り出し、判断業務のみ派遣に依頼するハイブリッド型

最もコスト効率が高いのは、業務を「定型」と「判断」に分けて、それぞれに最適な調達手段を使い分ける方法です。請求書入力、経費精算チェック、仕訳の定型入力などの定型業務は件数課金型BPOに委託し、月次決算の判断業務や経営陣への報告資料作成は派遣に任せます。

たとえば、フルタイム派遣1名(月額42万円)の業務のうち、定型業務(40%)をBPOに切り出すと、派遣を週3日に削減して月額25.2万円に。BPO費用(月3〜5万円)を加えても月額28〜30万円となり、年間で約144〜168万円のコスト削減が実現します。

方法2: 繁忙期のみスポット派遣、閑散期はBPOで対応

経理業務には年間を通じた繁閑差があります。決算期(3〜5月)や四半期末に集中する業務はスポット派遣で対応し、閑散期は最低限の定型業務をBPOで回す「波型」の調達戦略です。

年間を通じてフルタイム派遣を維持する場合の年間コスト(約500万円)に対して、スポット派遣3ヶ月+BPO9ヶ月のモデルでは年間270〜380万円まで圧縮可能です。繁閑差の大きい中小企業ほど効果が高い方法です。

方法3: 派遣とBPOを同一ベンダーで一括依頼し、ボリュームディスカウントを得る

近年、派遣事業とBPO事業の両方を展開するベンダーが増えています。同一ベンダーに派遣とBPOをまとめて依頼することで、3〜5%程度のボリュームディスカウントが得られるケースがあります。また、派遣スタッフとBPOチームの間で業務情報を共有できるため、引き継ぎコストの削減にもつながります。

方法4: クラウド会計・業務効率化ツールの導入で業務量そのものを削減する

派遣に依頼する業務量を減らすことが、最も直接的なコスト削減策です。クラウド会計ソフトの導入による仕訳自動化、経費精算システムによるペーパーレス化、請求書受領システムによるデータ入力の自動化など、テクノロジーで業務量を30〜50%削減した上で、残った業務を派遣やBPOに委託すれば、外注コストの圧縮と業務品質の向上を同時に実現できます。


経理派遣のコストは「時給×時間」だけでは見えてきません。マージン率、エリア別の相場差、隠れコスト、そしてBPOとの比較まで含めて検討することで、初めて「自社にとって最適な調達方法」が見えてきます。

ここまでの内容を踏まえて、派遣の導入判断フローを整理します。

  1. 業務の棚卸し: 自社の経理業務を「定型(仕訳入力・請求書処理・経費精算チェック等)」と「判断(月次決算の計上判断・経営報告・監査対応等)」に分類する
  2. 件数の把握: 定型業務の月間処理件数を計測する。請求書100件以下なら件数課金BPOが圧倒的に安い
  3. エリアの相場確認: 自社のオフィス所在地に合わせたエリア別相場を把握し、予算との適合性を確認する
  4. 隠れコストの織り込み: 表面上の派遣料金の10〜15%を間接コストとして予算に上乗せする
  5. ハイブリッド型の検討: 定型業務はBPO、判断業務は派遣という組み合わせが最もコスト効率が高い

特に月間の請求書処理が200件以下の企業では、全量を派遣に任せるよりも、定型業務をBPOに切り出して派遣の稼働日数を減らす「ハイブリッド型」のほうがトータルコストで有利になるケースがほとんどです。まずは自社の経理業務を「定型」と「判断」に分類し、それぞれに最適な外注手段を組み合わせることから始めてみてください。

よくある質問

経理派遣の時給相場はいくらですか?(東京)
東京エリアの経理派遣は業務レベルによって異なります。日常経理(仕訳・入力)で1,600〜1,900円、月次決算で1,900〜2,300円、年次決算で2,200〜2,800円、連結決算・IFRSで2,500〜3,500円が相場です。
派遣料金のマージン率はどのくらいですか?
一般的なマージン率は25〜35%です。派遣スタッフの時給が2,000円の場合、企業が支払う派遣料金は2,700〜3,100円程度になります。マージンには社会保険料、有給休暇引当、派遣会社の管理費が含まれます。
経理派遣とBPO、どちらがコスト的に有利ですか?
月間の請求書処理が200件以下であればBPO(従量課金)の方が安くなるケースが多いです。200件以上、または月次決算まで含む場合は派遣の方がコストパフォーマンスが高くなります。判断業務と定型業務を分けて併用するのが最もコスト効率が良い方法です。
派遣料金以外にかかるコストはありますか?
教育・引き継ぎコスト(初月は生産性50〜70%)、派遣先責任者の管理工数(月10〜20時間)、契約更新時の人材入替リスク(引き継ぎ2〜4週間)があります。年間で計算すると、表面上の派遣料金の10〜15%程度が隠れコストとして発生します。
エリアによって派遣料金は変わりますか?
変わります。丸の内・大手町エリア(金融・大手企業多い)は平均時給2,100〜2,500円と最も高く、渋谷エリア(IT企業)は2,000〜2,400円、新宿エリア(多業種)は1,800〜2,200円、品川・五反田エリアは1,900〜2,300円が目安です。
経理派遣の最低契約期間はどのくらいですか?
労働者派遣法では最低契約期間の定めはありませんが、実務上は最短1ヶ月(31日以上)が一般的です。スポット派遣(決算期のみ等)は2〜3ヶ月契約が多いです。1ヶ月未満の「日雇い派遣」は原則禁止されています。
派遣料金の値引き交渉は可能ですか?
可能です。長期契約(6ヶ月以上)、複数名の同時依頼、業務量が安定している場合は3〜5%程度の値引きが期待できます。ただし、過度な値引きは派遣スタッフの質に影響するため、相場の範囲内での交渉が望ましいです。
経理派遣のコストを抑える方法は?
4つの方法があります。①定型業務はBPOに外出し、判断業務のみ派遣に依頼するハイブリッド型。②繁忙期のみスポット派遣、閑散期はBPOで対応。③派遣とBPOの同一サービスでまとめて依頼しボリュームディスカウント。④クラウド会計導入で業務量自体を削減し、派遣時間を圧縮。
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